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『プリンセスコネクト!Re:Dive』(プリコネ、もしくはプリコネR)は、テレビアニメ化が予定されているソーシャルゲームです。つまり、現時点では何らかの媒体で放映されたアニメではないということになります。まだ放映されていない作品が「クソじゃないアニメ」とはどういうことなのか? 少しだけお話しさせていただきます。
ゲームだけど、「アニメRPG」
プリコネRはソーシャルゲームとしてはよくあるタイプの設計になっています。ガチャでキャラを集め、ステージを回って育成し、ボス戦やイベント、疑似PvPコンテンツに挑むという内容です。実際は様々な部分でプレーの快適さを損なわない工夫がなされているので、この点でも他の作品と差別化はできていると思うのですが、ひとまず置いておきます。
ではプリコネRにおいて最も特徴的な部分は何か。それはゲームの進行とともに開放されるメインストーリーにて、随所にアニメパートが挿入されるという「アニメRPG」であることです。


キャラクターが立ち絵だけでなく、生き生きと動き回るというのは、えてして「おまけ」になってしまいがちなソーシャルゲームのストーリーにとって大きな武器になるのではないでしょうか。
メインストーリーは現在第14章まで公開されていますが、物語の分量的には1章でアニメ1話分くらいでしょうか。各章は5~15話くらいに分割されていて、大体1話ごとに1シーンアニメパートが入るので、バラツキはあるものの、通しで見るとそれなりの量がすでに「アニメ化」されている体感です。
作画は良い。でも引っかかる
アニメパート以外はいわゆる「紙芝居」です。とはいえ、アニメパートも含めストーリーはフルボイスなので、一続きになっているとそのままアニメを見ているような感覚があります。


ただ、残念なことに、メインストーリー全体を通して説明台詞が多いです。1枚目だとコッコロちゃん(画面左)が状況を示すために「馬車から引きずり出す」「爆風からかばう」というムイミ(画面外)がとった行動を口にしていますし、2枚目でも不意打ちを回避したマコト(画面右)の戦闘能力を表現するためにシズル(画面左)が言葉で言い表さざるを得なくなっています。コッコロちゃんやシズルが特別説明台詞を多く喋るキャラというわけではなく、どのキャラも例外なくこの様子です。
説明台詞が多いと物語としてはテンポが悪くなってしまいますし、これを声で聞かされてもフルボイスの魅力を損なってしまっているようにしか思えません。
説明台詞が多い理由としては、主人公のキャラクターにプレイヤーに投影させるため、某ゲームのように主人公が選択肢でしか喋らないことが考えられます。主人公の内心で説明するという手法が使えず、また、アニメパートと紙芝居を行き来するので、地の文=ナレーションも一貫性がなく多用しづらいのでしょう。
余談ですが、主人公とキャラとのより親密な関係が描かれるキャラストーリーにおいては、そのほとんどがキャラとの会話のみで完結するため、説明台詞を多用してまで状況説明がされる場面は少ないです。上記の欠点が目立たないことから、メインストーリーよりも読みやすく、大変おすすめできる作品になっています。
「アニメ」であれば、解決する?
全編アニメーションではない、いわば半端にアニメ化されているばかりに、物語としては片手落ちになってしまっているプリコネRですが、裏を返せば、全編アニメーションになってしまえば、少なくともこの欠点は解消される公算が高いわけです。
しかし、アニメパートが挿入されるメインストーリーの全てを、セルアニメで作成するということには困難が伴います。単純に製作コストが跳ね上がりますし(ひいては更新頻度の低下につながりかねない)、データ容量も大きくなってしまいます。
こうしたジレンマを抱えるプリコネRにとって、テレビアニメ化は福音とも言えます。すべてのシーンをアニメーターが作画する作業コストは変わらないにせよ、広告を付けてのテレビ放送やディスクメディアでの販売により単体での収益化が見込め、金銭コストの観点では圧縮できる可能性が高くなります。これは基本無料のソーシャルゲームとは大きく異なる点です。
このように、単にアニメ作品として見てしまうとややもったいない短所を持つプリコネRですが、テレビアニメではそうした短所を克服した「クソじゃないアニメ」として羽ばたいてくれるのではないかと、個人的に期待しています。というか、成功してほしいと思っています。仮にクソアニメだったとしてもサイゲお得意の限定キャラ商法で円盤は売りさばくのでしょうが、願わくば、気に入っている作品なので、多くの人に称賛されるようなアニメになってほしいと思っています。
というわけで、プリコネRはクソじゃないアニメになる予定だ、というお話でした。短文ではありますがお読みいただきありがとうございました。
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