- この記事はクソじゃないアニメ Advent Calendar 2018 18日目の記事です。昨日はえいわす太郎でした。
「世間的な評価はあまり高くないけれど、自分の心には残っている」作品というといくつか思い浮かぶのですが、今回は『幸腹グラフィティ』について少しだけお話ししようと思います。

幸腹グラフィティは「まんがタイムきららミラク」にて連載されていた4コマ漫画が原作で、いわゆる「きららアニメ」なのですが、私は原作は未読の状態でした。アニメ化に際して岡田麿里氏が1クールに再構成して脚本を起こしたとのことですが、この点について受け入れやすかったのはそのおかげなのかなあと思うところもあります。
このアニメは端的に言うと「メシテロ作品」であり、近年評判になったものだと『孤独のグルメ』や『衛宮さんちの今日のごはん』などと同種ということになります。最近流行っていますよね。
登場人物がおいしそうにごはんを食べるシーンを主軸に、食事を通して人間関係を描いていくことが多い(勝手な分析です)メシテロ作品の中で、幸腹グラフィティもその例にもれず、町子リョウ(CV:佐藤利奈)と森野きりん(CV:大亀あすか)*1という2人が囲む食卓を中心に物語が進んでいきます。
中学生2年生のリョウは、海外赴任中の両親に代わって面倒を見てくれていたおばあちゃんが亡くなってから、広い家にひとり。おばあちゃんに教えてもらった料理もおいしく作れなくなり、少し寂しい日々を送っていました。ある時叔母の頼みで、はとこのきりんを毎週末自宅に泊めることになったところからお話は始まります。
きりんに料理を振る舞うと、ややメシマズ気味*2な母を持つきりんは大喜び。実はおいしく作れなくなったのではなく、一緒に食べる人がいなくなったことでおいしく感じられなくなっていただけだったのです。
きりんは、リョウとおいしいごはんを食べる役を名乗り出ます。そしてリョウのおみやげを手に、来週また会う約束をして家路につくのでした。
1話は無料で見られるようなので、とりあえず見てもらうのが早いと思います。
さて、ここまでならよくある日常系という感じです。1話からちょっと百合成分多めではありますが、それもうれしいという人が多いのではないでしょうか。わりと王道を行くきららアニメなだけに、売上が芳しくなかったというのは不思議な部分もあります。
個人的に、評価が分かれる最大の要因となったのは、作画にあるのではないかと思っています。使いまわしの手抜きだったとか、崩壊していたとかではありません。

では何が……? それは、むしろ作画に力が入りすぎていたこと。
下の画像はED曲のジャケットですが、作中でもこんな感じのカットは出てきます。
料理を通して友情とか家族愛とかを描くはずが、おいしい料理を食べて悶える美少女の作画に力が入りすぎている……!
正直私は美少女のエロい表情ならドンと来いなので全く問題ないのですが、このミスマッチ感というか、どっちつかずな感じが、なかなか世間受けしにくくなってしまった原因では……? と、推察してみます。
料理も含めて、作品全体がビビッドな色調であることも挙げられるかもしれません。カロリーが画面を通して殴りかかってきそうな錯覚すらあります。先ほども例に出した衛宮さんちの今日のごはんはなかなかの売上枚数ですが、こちらは終始素朴な雰囲気で描かれており、料理を囲んで登場人物たちが団らんする温かい空気に力点を置いていることが伝わってきます。こういう作りの方が受け入れやすいという人が多いのでしょうか……。
余談ですが、私がこの作品をすんなり消化できたのは、私の個人的なアニメ視聴スタイルが理由となっている可能性があります。というのも私、アニメは家族で食卓を囲みながら嗜むものという感覚があるのですよね。当然この作品も母の料理を食べながらでした。誰かといっしょにおいしいごはんを食べる、という点に共感しやすかったのかもしれません。メシテロ作品は空腹時に視聴すると拷問に近いダメージを受けるリスクも孕んでいますが、そもそも食事をとりながら見るのであればそういった弱点も無視できますしね。
とまあ、とりとめのない感じになってしまったのですが、この気合い入りまくりな作画が肌に合う方であれば、ぜひ全話視聴してもらいたい作品だと思っています。OP・ED曲もそれぞれいい曲ですし、特にOPの映像はこれまで見てきたアニメOPの中でも屈指のクオリティとおすすめできますので……。
時間があったらきちんと見返して色々追記したいです……。
- クソじゃないアニメAdvent Calender 2018、明日は0bitさんです。よろしくお願いします。
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