
ぺどすまウィークリーニュースとは?
今週1週間のモバイルトピックやニュース記事をぺどすま的視点からおさらいしていきます(ニュースとは?)。週1回(気が向いた週に)更新予定です。今回は4月1日~4月7日までのニュースをお届け。
4月1日(日)
au、一部のプランでテザリングオプション料金課金開始
auのパケット定額サービス・データ定額20、同30、および基本プラン・auピタットプラン、auフラットプラン加入者向けの、テザリングオプション月額料金無料キャンペーンが3月31日をもって終了し、翌4月1日から課金が開始されました。
キャンペーン終了が近づいた先月ごろより、テザリングオプションによるテザリング機能の提供と、それにかかる追加の月額料金に対して批判が再燃し、議論が活発になっていましたが、実際に課金が開始されるまでは利用者の声も見えづらい部分があり、今後明らかになっていく点に注目が集まっていくと考えられます。
大手ニュースサイト等では、スマートフォンと、テザリング利用してのネットワーク接続機器として最有力候補であるPCを比較し、両者の取り扱うトラフィック量の違いを理由にテザリングオプション料金を理解しようとする趣旨の記事が多くみられましたが、「スマートフォンであろうがPCであろうが、5GBのデータは5GBのデータ」と、モバイル向けコンテンツがリッチ化した現在においては、上記のように区別して考えることが非合理的であり、説明になっていないとの指摘も挙がっていました。
この点に関してはいくつかの考察が試みられています。技術解説ブログの無線にゃん氏は、スマートフォン全盛時代以前の設備設計、そしてその枠組みの維持コストが理由ではないかと推測されています。
またITmediaも、各キャリアの説明には疑問を呈しつつも、Windows UpdateのようなPC特有の同時多発的大量トラフィックを想定してのこととの仮説を立てています。
WindowsのOS更新に限らず、瞬間的なトラフィック量の差異で言えば、動画ストリーミングサービスなどもスマートフォンとPCでは大きく異なる可能性があるので、キャリアの心配も完全な誤りとは言い切れないようにも思えます。
しかしながら、そもそも利用自体に事前の申し込みが必要、申し込みをすれば利用したか否かにかかわらず月額500円課金というのは、あまりにもユーザーの利便性を無視していると言わざるを得ないのではないでしょうか。より適切な料金体系を望む声もあります。
いずれにせよ、テザリングオプション料金によってARPUを押し上げたいというキャリアの意図が少なからず存在することは否定できないでしょう。モバイルWi-Fiルーターや固定代替とのバッティングを意識しての部分もあるかもしれません。SoftBankの説明にもそういった思考は見て取れます。そのSoftBankはちゃっかり5月31日まで無料キャンペーンを延長するとしています。2ヶ月後のSoftBankの動き次第ではもう一悶着起きるかもしれません。
JR東日本、交通系ICで短距離の新幹線利用可能に
Suicaなど全国相互利用サービス対応の交通系ICカードで、在来線同様に新幹線に乗車できるJR東日本のサービス(自由席限定)、「タッチでGo!新幹線」が、一部の区間に限って開始されました。利用可能なのは東北新幹線の東京駅~那須塩原駅、上越新幹線の(東京駅~)大宮駅~上毛高原駅、北陸新幹線の(東京駅~大宮駅~)高崎駅~安中榛名駅と東京からおよそ150km前後の比較的近郊と言える区間です。*1
事前に一度ICカードの利用登録をする必要はあるものの、以後は在来線と同じ感覚で新幹線に乗車できるというのは画期的です。JR東海も予約した新幹線への交通系ICカードでの乗車が可能なサービス「スマートEX」を昨年9月よりスタートしていますが、手軽さで言えばタッチでGo!の方が一枚上手と言えます。
特に魅力的なのは、東京~大宮のように、新幹線駅を2つ以上含む在来線区間のSuica定期券を持っている場合、当該区間は特急料金のみで新幹線にも乗車できる点です。普段は上野東京ラインで通勤している人も、その日の気分によって通勤特急感覚で気軽に利用できるわけです。さしづめ「ホームライナーなすの」といったところでしょうか。ライナー券に比べれば贅沢ではありますが、たまに乗る分には悪くない選択肢かもしれません。

東北・上越新幹線で活躍した総2階建て車両「Max」の後継形式が開発されない理由として、湘南新宿ラインや上野東京ラインの整備により新幹線通勤客が在来線に戻っていったことが挙げられていますが、今回のように新幹線の魅力が増えることで多少揺り戻しが起きるのではないかという予想も個人的にはしています。
4月3日(火)
“ガラホ”拡充を「間違い」と切って捨てるのはいかがなものか
ITmediaのコラム記事。フィーチャーフォンとスマートフォンは全く別の電化製品であるというのは確かにその通りで、フィーチャーフォンを手放さない人々がいることには何の驚きもありません。上記記事でもそういった点に触れながらフィーチャーフォンユーザーの心境について解説がなされています。
しかし記事のまとめとして、OSにAndroidを採用したフィーチャーフォン、いわゆる“ガラホ”を挙げ、これもまた、従来型フィーチャーフォンからの移行先として最適解ではないと述べています。その理由は、「Androidベースなので、UIがフィーチャーフォンと異なる」から。
これは正直、短絡的な思考に思えます。実際にAndroidフィーチャーフォンに触れてみれば、OSが相当なレベルでカスタマイズされており、その操作性も限りなくSymbian OSやREX OSを採用した機種に近いものとなっていることがわかるはずだからです。私自身auの4G LTEケータイ・GRATINA 4G KYF31を持ち歩いていますが、以前愛用していたKCP 3.1採用機種と変わらない使用感であると認識しています。家族にも従来型フィーチャーフォンからAndroidフィーチャーフォンに機種変更した者がいますが、問題なく利用でき、満足しているようです。*2
「多機能なガラホ」といっても、AQUOS KやMARVELAのようなハイレンジモデルは高価格帯の従来型フィーチャーフォンと同程度の機能性ですし、DIGNOケータイのようなエントリーモデルも用意されているので、これを理由に従来型フィーチャーフォン利用者から敬遠されているというのはやや無理のある論理だと感じます。LTE・VoLTE対応に関して言えば、スマートフォンとの部品共通化や今後の3G巻き取りを見据えてのことと思われ、無意味な高コスト化をしているわけでもないでしょうしね。
従来型フィーチャーフォンからAndroidフィーチャーフォンへの移行が進んでいないのだとすれば、操作性以外に理由があると思われるのですが、*3そもそも移行が進んでいるか否かについては記事中で論拠が示されていないどころか言及すらされていないので、一体何を根拠に、エントリー帯スマートフォンと一括りにして“ガラホ”ラインナップ充実を「間違った戦略」としたのかは、甚だ疑問であります。
4月6日(金)
楽天に1.7GHz帯割当、久々の「第4のキャリア」誕生へ
1.7GHz帯と3.4GHz帯の追加割当についての審議結果が発表され、新規参入を希望していた楽天を含む4事業者に第一希望通りに割当がなされることが決定し、これによって楽天の参入も認められることとなりました。
ちなみに他社についても見てみるとdocomoは3.4GHzの高い側(前回割当分と合わせて連続80MHz)、SoftBankは同じく低い側(前回割当分からは飛び地)、au(KDDI・沖縄セルラー電話)は1.7GHzの低い側(同社にとっては初の帯域)となっています(楽天が高い側)。docomoが免許を保有する1.7GHz帯の東名阪地域以外の地域での免許についてはなぜか希望する事業者がなく今回の割当はなされないということになっています。*4
auは前回割当時より3.5GHz帯にはやる気を見せておらず、1.7GHzに執心していたので予想通りと言えます。SoftBankも1.7GHz帯でさらに帯域を獲得するというところまでは欲張らなかったようです。
楽天に帯域が割り当てられたとはいえ、「レベルを上げて物理で殴る」ならぬ「帯域を集めてCAで殴る」なこの時代にたった20MHz×2ではできることも限られるでしょうし、今回は“新規参入事業者”という下駄があったのが次回からは既存大手3社と同じ土俵でビューティーコンテストを勝ち抜かなければ更なる帯域獲得はできませんし*5、順風満帆とは言い難いと思いますが、少なくとも楽天の撤退時*6には免許が失効するためイーモバイルの二の舞にはならないと思うので、三木谷社長のやりたいようにやらせてあげればいいと思います。これで成功したら喜ぶべきことだし、失敗したら総務省も「新規参入があれば市場競争を健全化できる」などという幻想から目を覚ましてくれるでしょうから、どちらに転んでも悪いことはないと思います。多分。
*1:と言っても東海道新幹線で言えば東京駅から新富士駅の先まで行くくらいの距離なので、相当なものであるとも言えますが。
*2:個人的な感想としては、機種ごとの微細な操作性の差異すら不満に感じるのであれば、たとえ従来型フィーチャーフォン全盛期が続いていたとしても機種変更などできなかったのではないか、と思います。
*3:例えば、3Gケータイにはキャリアメール無料プランがあるが、LTEケータイにはない、など。
*4:そもそもdocomoの要望でこの部分の募集が行われることになった気がするのですが。
*5:某社がこの期に及んで「イコールフッティング」とか言えたなら話は別。
*6:厳密にいうと今回時点での既存事業者に事業売却した場合。