新型iPhoneが「X」だろうと「Edition」だろうと大抵の人には関係ない――Appleはこれでいいのか?

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(http://ascii.jp/elem/000/001/544/1544547/)より引用

 以前よりガジェットマニアの間でリーク情報・噂として話題に上がっていた「特別仕様」もしくは「10周年記念モデル」のiPhone *1 ですが、Yahoo!ニュースをはじめ複数の大手メディアに、その名称が「iPhone X」となるとの情報が掲載されたため、一般の人々の認知するところとなりました。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

ascii.jp

 

 

 さて、本ブログでも便宜上この記念モデルを「X」と呼ぶことにしますが、名称が明らかになっただけでこれほどの話題になるのは、さすがiPhone、さすがAppleといった印象です。おそらく他のスマートフォンやメーカーではここまでの話題性を作り出すことはそうそうできないでしょう。

 

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 一方で、その名称にばかり注目が集まっている状況は、「Appleとユーザーにとって本当に好ましいことなのか?」という疑問が浮かんできます。というのも、以前のApple新製品に関する噂の出回り方と、今回とでは、その性質が大きく異なるように感じられるのです。

 iPhoneについて、これまでで最も広い範囲に伝播し、そして大きな注目を集めた噂 *2 としては、「iPhone 5sが指紋認証機能を搭載する」 とされたものが第一に挙げられます。最近では、iPhone以外でも、MacBook Proの新型モデルにTouch Barが搭載されるというのが発表前に話題になるなどしました。いずれも、製品に新たに実装される機能について注目が集まっていたと言えます。

 

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iPhone 5s。指紋認証機能を搭載したホームボタンが特徴的。

 

 今回のXはどうでしょうか。信ぴょう性や真偽はさておくとして、「有機ELディスプレイの採用」、「ベゼルレスデザインの採用」、「ホームボタンの廃止」などが、新機能・本体の特徴としては伝えられていますが、現段階では製品名称そのものほど一般からの注目を集めてはいないように見受けられます。強いて名称以外に言及されている点があるとすればその本体価格が従前よりも相当高額になることくらいでしょうが、いずれにしても機能面とは直接の関係はありません。

 

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Galaxy S8。有機EL・ベゼルレスなど伝えられるiPhone Xの特徴と類似点が多い

 

 さらに言えば、新型iPhoneが発売されてしまえば、名称に注目する人などほとんどいないと考えられます。iPhone SEが発売されるまではその名称が「5se」「6c」「7c」いずれになるのか様々な予想が飛び交いましたが、今となってはそんなことを覚えている人は何人いるでしょうか。Xも、「『X』なのか、『Edition』なのか、『8』なのか」という議論は1ヶ月後には人々の記憶からは消え去っていることでしょう。そもそも自分が使っているスマートフォンのペットネームすら覚えていない人が大半なのです。

 回りくどくなりましたが、結局のところ、今回のXのトレンド入りは、本質的な意味でXが注目を集めることができていないと言えるのではないか、と私は考えるのです。これは、ある意味では、名称だけでも話題性を生み出すほどのAppleとiPhoneのブランディングの成功とも言えます。発売を間近に控えた発表会までダラダラと不確定情報を垂れ流して新機能をひけらかさずとも、消費者に製品に対する認知を浸透させられるAppleの力だと言ってもいいでしょう。しかし裏を返せば、その製品の機能や特徴で消費者の意識を向けさせるほどの魅力が、iPhoneからなくなりつつあるということにもなるのではないでしょうか。

 

 ブランド力を大きな武器に市場を制圧してきたiPhoneから、そのブランド力が失われいくとき、そこに残ったiPhoneの“本質”は競争に堪え得るものなのか――ひとりの個人としては、そんな一抹の不安を、今日の盛り上がりからは感じたのでした。

 

 

 

 

*1:タイトルでは「新型」と表記しましたが、正確には近日発表されるとみられる3機種のうちのひとつです

*2:なおかつ、それが真実だったもの

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